ピカソ名画に隠された肖像画、米専門家チームが解明
(CNN) 米国立美術館などの専門家チームが、巨匠パブロ・ピカソの1901年の名画「青い部屋(浴槽)」の下に隠されていた男性の肖像画を描き出すことに成功した。
肖像画の男性はジャケットにボータイ姿であごひげを生やし、3つの指輪をはめた右手の上に頬を乗せた姿勢で描かれている。
「青い部屋」は首都ワシントンの美術館フィリップスコレクションが1927年から収蔵しており、国立美術館が1990年にX線を使った調査で、隠された作品の存在を確認。2008年には赤外線技術の進歩によって、男性の肖像画が浮かび上がった。
同美術館は国立美術館やコーネル大学などの専門家の協力を得て、この肖像画の全容を描き出すとともに、顔料などの分析からこれがピカソ本人の作品であることを確認した。
「青い部屋」は、青色を基調とする悲哀に満ちた作風で知られるピカソの「青の時代」の初期の作品。「下の作品は(青の部屋と)同じ年に描かれたと思われるが、作風はまったく異なっており、この年にピカソに起きた変化をうかがわせる」と専門家は解説する。
肖像画はピカソがスタジオを構えていたパリのモンマルトルで描かれたと推定される。専門家チームはこの男性が誰なのかを突き止めたい意向だが、手紙やメモ書きなどが残っていない限り、特定は難しいとみられている。