オリバー・サックスさん死去、82歳 「レナードの朝」著者
(CNN) 英国出身の作家で神経科医のオリバー・サックスさんが30日、米ニューヨーク市グリニッチビレッジの自宅で死去した。82歳だった。
サックスさんは9年前に眼球悪性黒色腫と診断されて片目の視力を失い、その後、がんが肝臓に転移していた。今年2月に米ニューヨーク・タイムズ紙に寄せた寄稿では、「最初に診断されてからの9年間、健康と生産性を保てたことに感謝している」と述べ、「がんに肝臓の3分の1を侵された。進行は遅いかもしれないが、この種類のがんは止めることができない」と告白していた。
サックスさんはニューヨーク大学医学部に勤務し、故ロビン・ウィリアムズ主演で映画化された「レナードの朝」(1990年)の原作者として知られる。原作は1973年に出版され、嗜眠性脳炎の患者の治療に当たった経験を回想していた。
こうした作品に対して一部では「作家としてのキャリアのために患者を利用している」などの批判もあった。しかし訃報に接した各国のファンや著名人からは、サックスさんの死を惜しみ、作品をたたえる声が相次いでいる。
人の脳と心についての理解を深めることを目的とした「オリバー・サックス財団」も設立され、関係者が追悼の寄付を呼びかけている。