ロシア、ウクライナ人歌手の優勝に反発 ユーロビジョン
(CNN) 欧州最大の音楽祭「ユーロビジョン」で今年、クリミア半島の少数民族について歌ったウクライナ代表の女性歌手ジャマラさんが優勝したことに対し、ロシアから反発の声が上がっている。
ロシアの国営RIAノーボスチ通信によると、上院国防安全保障委員会のフランツ・クリンツェビッチ議員は15日の記者会見で、今年のユーロビジョンでは芸術性より政治が優先されたと述べ、反感をあらわにした。
ユーロビジョンは毎年、前年の優勝者の出身国で開催される。今年の結果を受け、次回はウクライナの首都キエフで開かれる見通しとなったが、同議員はロシアが来年の出場を見送る可能性に言及。「主催者は政治色を最大限に強めようとするだろう」「ステージを独立広場に設けることも考えられる」と懸念を示した。独立広場は、2014年に親ロシア派のヤヌコビッチ政権を倒した抗議デモの舞台となった場所だ。
ジャマラさんの歌は、旧ソ連支配下のクリミア半島から先住民族タタール人が追放された時のことを描いた内容。曾祖母から聞いた体験を基に作ったという。歌詞にロシアという言葉は出てこないが、その裏にはプーチン・ロシア大統領によるウクライナ介入への非難も込められているとの見方が強い。ロシアのメディアは先週から、この歌を「反ロシア的」と批判していた。