独誌シュピーゲルの花形記者、「大規模な」記事捏造で解雇 7年間に14本
香港(CNN Business) 71年の歴史を誇るドイツの週刊誌シュピーゲルは21日までに、長年にわたって事実と異なる記事を十数本執筆、掲載し続けていたとして、所属する33歳の記者を解雇した。
シュピーゲルは19日、オンライン上に掲載した記事の中で、解雇したクラース・レロティウス記者について「大がかりな記事の捏造(ねつぞう)を行っていたことが分かった。実在しない人物を登場させたことすらあり、読者と同僚の両方を欺いていた」と述べた。
欧州を代表するメディアの1つとして知られるシュピーゲルは、質の高い報道に定評があり、その記事は印刷版で数十万人、オンライン版で数百万人が読むとされる。
今回の捏造は、米国内の出来事に関するレロティウス記者の記事を見た同僚が内容を疑問視したことで発覚した。レロティウス記者は先週、当該の記事について捏造したことを認めた。シュピーゲルはこの問題に関する内部調査を開始したと説明している。
レロティウス記者は2011年にフリーランスの記者としてシュピーゲルで記事を書き始めた。1年半前からは編集業務にも携わっている。同誌によればレロティウス記者は、これまで紙面やウェブサイトに掲載された60本近い記事のうち、少なくとも14本で部分的な捏造を行った。実際にはなかったやり取りや引用を加えたり、記事に登場する人物をでっち上げたりしていたという。
レロティウス記者はシュピーゲル以外にドイツやスイスの主要メディアで複数の記事を発表しており、優れたジャーナリストに与えられる賞の受賞歴もある。CNNの広報担当者は20日、問題の発覚を受けてレロティウス記者に同社から授与した2014年の2つの賞を剥奪(はくだつ)することを決定したと明らかにした。
現時点でレロティウス記者の記事は、シュピーゲルのウェブサイトにそのまま掲載されているが、捏造の疑いで調査対象になっている記者によるものとする読者への注意書きが添えられている。