「真夜中の子供たち」から40年、ラシュディ氏が振り返る独立後のインド
しかし、今では多くが変わった。
「私の若い頃にあった宗派にとらわれない雰囲気はほぼ消えた」「多数派のヒンドゥー教徒と少数派の対立は激増した。悲しい時代と呼ぶべきだろう。私のような人間が育ち、ほぼ受け入れていたインド、つまりネルー、ガンジー両氏が掲げた世俗国家の理念は崩れつつあるように見える」
もし今「真夜中の子供たち」を執筆するなら、もっと暗い物語が必要になるだろうとラシュディ氏は話し、「言いたくないが、かつてより状況は悪化したと思う」と漏らした。
ブラック・ライブズ・マター運動の「大の支持者」
ラシュディ氏はかねて、人種的公正や言論の自由を擁護してきた。ジョージ・フロイドさん殺害事件後に米国で進む人種問題の見直しは避けられないことだったとの見方を示す。
「私はブラック・ライブズ・マター運動の大の支持者だ」「引き金になったのはフロイドさん殺害だが、問題の根本はもっと古い不満にある。率直に言って、そろそろ人々は注目していいころだ」
重要なのは米国で少数派がどういう扱いを受けるかだと、ラシュディ氏は語る。
「問題は黒人が国家からどういう扱いを受けるか、黒人の命がどれだけの危険にさらされ続けるのかだ」「最近の状況に見られるように、黒人の命だけではなく、今やアジア系住民に対する攻撃も同じくらい危険になっている」