預言者ムハンマドの風刺画で反発招いた漫画家が死去、86歳 デンマーク
(CNN) イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を描いて物議をかもしたデンマークの漫画家、クルト・ベスタゴーさんが死去した。86歳だった。ムハンマドのターバンから点火した爆弾がのぞく当該の風刺画をめぐっては、2006年に数々の暴力的な反発が起きた。
ベスタゴーさんの死はデンマーク紙のベアリンスケが18日、家族からの情報として伝えた。報道によると本人は長く病を患っていたという。
ベスタゴーさんによるムハンマドの風刺画は、05年9月、デンマーク紙のユランズポステンに初めて掲載された。06年に入り複数の新聞が再掲載し、言論の自由をめぐる議論を展開したところ、イスラム教徒からの激しい反発を招いた。デンマーク製品の不買運動が起き、イスラム教徒が多い複数の国でのデンマーク大使館閉鎖などにも発展した。
当時ベスタゴーさんは、風刺画を通じ、預言者を悪用してテロを正当化しようとする人々がいることを伝えたかったと述べている。しかしイスラム教徒の間では聖典である「コーラン」の教えにより預言者の肖像を描くことは禁じられているとの考え方があるほか、多くのイスラム教徒は当該の風刺画について、預言者をテロリストとして描いたものと解釈していた。
ベアリンスケが引用した言葉の中で、ウェステルゴールさんは「自分のことは、言論の自由を勢いづけた人物として記憶にとどめてもらいたい」「しかし間違いなく一部の人々の間では、10億人の信仰する宗教を侮辱した悪魔として記憶されるだろう」と語った。
晩年のベスタゴーさんは警察の保護下で生活していた。デンマーク当局はベスタゴーさんの殺害を計画したとの疑いでこれまで多くの容疑者を逮捕した。
11年2月には、前年にベスタゴーさんの自宅で襲撃を図ったとしてソマリア国籍の男に対し禁錮9年の判決が下った。
ベアリンスケによるとウェステルゴールさんには5人の子どもと10人の孫、1人のひ孫がいる。