AP通信カメラマン、法廷で証言 ホワイトハウス取材制限で「行き詰まっている」
(CNN) 米ホワイトハウスがAP通信に対し、大統領関連のイベント、大統領執務室、エアフォースワン(大統領専用機)への出入りを制限する決定を下したことをめぐり、AP通信ワシントン支局でホワイトハウスを担当するチーフカメラマンは27日、同社がトランプ政権に関する報道競争で苦労していると証言した。
エバン・ブッチ氏は、ホワイトハウスへの立ち入り禁止に対し同社が起こした訴訟の審理で、制限が課されて以降、特にトランプ政権2期目の発足から数週間で起きた主要なイベントの際に競合他社に「追いつくのに非常に苦労」しており、「主要なニュース報道で基本的に行き詰まっている」と訴えた。
AP通信のホワイトハウス担当チーフ特派員、ジーク・ミラー氏は同日、制限が同社の業務に与えた影響について証言。同社は「遅れた形で」報道せざるを得ず、報道内容は「(他社と)同水準の完全性」を欠いていると述べた。
AP通信は世界最大規模のニュース通信社で、世界中の地元紙が利用しているが、「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改称することを拒否したとしてホワイトハウスから批判の矛先が向けられた。
ブッチ氏によると、この問題は、トランプ大統領、バンス副大統領、ウクライナのゼレンスキー大統領との間で先月行われ、物議を醸した大統領執務室での会談で浮き彫りになった。
AP通信は会談の撮影を海外に拠点を置くカメラマンに頼らざるを得なかったという。この人物は、トランプ氏ではなくゼレンスキー氏を取材する記者団の一員としてイベントに参加できたが、配信のため写真を数秒以内に編集者に送り返す経験とスキルが欠けていた。
ブッチ氏は同社の写真は世界中で約40億人に届いていると述べ、同社がここ数週間ホワイトハウスの一部のイベントに参加していないことは一般市民にとって重大なことだと強調した。
ブッチ氏は、昨夏の選挙集会中に起きた暗殺未遂直後に拳を振り上げるトランプ氏を捉え有名になった写真を撮影した人物。
今回の審理は、ホワイトハウスのイベントの取材権限の回復を裁判所に求めるAP通信の最新の動きだ。トランプ氏に任命されたマクファーデン判事は2月下旬、差し止め請求を退けていた。
ミラー氏はこの制限が課されて以降、大統領に関わるイベントで他のメディアが尋ねる質問が「軟化した」と見ていると証言した。イベントに参加しているメディアの記録やその他の報道を読み、大統領に対する質問の「口調や趣意が和らいだ」ことに気づいたという。