CNNのリクト会長兼CEOが退任、短い中で激動の任期
ニューヨーク(CNN) 米CNNの会長兼最高経営責任者(CEO)、クリス・リクト氏が7日付で同社を去った。1年の短い在任期間中は失策が相次ぎ、批判の声が上がる中での退任となった。
CNNの親会社、ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーのデービッド・ザスラフCEOは、CNN社員らに「クリスと会った。彼はCNNを去る」と告げた。同社で開かれる日々の編集会議の冒頭で明らかにした。
リクト氏の退任は、CNNにとっての激動の1年を締めくくるものとなった。この間、社員の解雇や減益、歴史的な視聴率の低下に見舞われたほか、番組司会者2人の解雇もあり、社員の士気は最低の水準にまで落ち込んだ。それ以前にも当時のジェフ・ザッカー社長の辞任や、ストリーミングサービス「CNN+」がスタートから1カ月で終了するなど、混乱が続いていた。
リクト氏は声明でCNNでの職務について「心躍る一方、信じられないほど困難なものでもあった。この13カ月間で多くのことを学んだ」「幸運にも成功した、充実のキャリアを築くことができた。自分の今後を楽しみにしている。CNNのチームの幸運を常に祈っている」と述べた。
深夜のトーク番組で大きな成功を収めたリクト氏は、昨年5月にCNNのトップに就任。しかし任期中はマスコミからの厳しい批判にさらされた。批判はしばしば自身の周辺の社員によるリークの結果として噴出した。これらの社員はリヒト氏の指導力や編集者としての展望に十分な信頼を寄せていなかった。
決定的となったのは、アトランティック誌が2日に掲載した長文記事だ。執筆したティム・アルバータ氏はCNNの社員100人以上に取材し、将来に向けてのリクト氏の指導力に対して深刻な疑問を投げかけた。
記事が公開された後、リクト氏は社員に謝罪し、信頼を獲得するため「死に物狂いで戦う」と約束した。
それでも、著名な番組司会者や特派員らが一般社員らと共にリクト氏に見切りをつけたことで、同氏は事実上行き詰った。