CNNのリクト会長兼CEOが退任、短い中で激動の任期
ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーのザスラフCEOもアトランティック誌の記事を契機にリクト氏の解任を真剣に考えるようになったと、事情に詳しいある人物が明らかにした。解任の最終的な決定は今週、ザスラフ氏が下したという。
リクト氏がCEO解任を告げられたのは7日の午前。CNNのコミュニケーション部門を統括する2人と、リクト氏の側近1人も同社を去る見通しだと、事情に詳しい人物が述べた。
リクト氏は、ザスラフ氏が自身の退任を知らせた前述の編集会議に出席しなかった。退任に関するワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーからの報道発表にも、リクト氏本人のコメントはなかった。
ザスラフ氏はリクト氏の「素晴らしいキャリア」を称賛し、将来に向けての幸運を祈った。一方で「多くの理由から物事がうまく進まず、残念だった」「最終的な責任は私にある。私が全責任を負う」と付け加えた。
同氏が社員らに語ったところによれば、現在新たなCNNのトップを社の内外を問わず広範に探している最中だという。また暫定的な人事として、ベテランの役員3人のチームが社を率いることになると述べた。
前任のザッカー氏と異なり、リクト氏はニューヨークにあるCNN社屋のニュース編集室のフロアにはオフィスを持たなかった。これは自身とスタッフとの間に距離を生んだ。その後も社内で評価の高い番組司会者や重要な役割を果たしてきたジャーナリストを解雇し、スタッフを驚かせた。
昨年11月下旬と12月上旬には、当面人員削減は行わないと示唆していたにもかかわらず数百人のCNN社員を解雇。組織内での自身の立場が一段と厳しいものになった。
番組の改編でも問題が噴出した。同氏が新たに立ち上げた朝の番組は視聴率で前番組に及ばず、起用した番組司会者のドン・レモン氏は放送時の性差別的な発言が原因で今年CNNを去った。
ただ番組に関連する最も深刻な批判は、トランプ前大統領を招いての対話集会の番組を巡るリクト氏の対応に向けられた。先月放送されたこの集会は時々論点が逸脱し、混乱する場面があったとして失敗だとみなす意見が多くを占める。
酷評は視聴者だけでなく、CNN内部からも寄せられている。同社の代表的な番組司会者、クリスティアン・アマンプール氏はニューヨークにあるコロンビア大学ジャーナリズム大学院の卒業式のスピーチでリクト氏に異議を唱え、メディアの注目を集めた。