女性にも自分らしい生き方を レスリングで人生を切り開くインドの少女たち
カリラマン氏のような女性コーチの存在は、女子生徒たちに極めて重要な影響を与える。女子生徒たちは自分自身でいられる居心地の良い空間を確保しつつ、懸命の努力によって自分の未来を切り開くことができる。どのような道であれ、自力で歩んでいけるのだ。
「彼女たちの大半は、女性コーチがいてくれて本当に助かっていると話す。自然体で過ごすことができ、いちいち余計な説明をする必要がないからだそうだ」(ファドナビス氏)
ファドナビス氏は、自身の学生時代を振り返り、走り幅跳びやスローボールに参加する時の興奮が好きだったと語る。そして毎日、新たな情熱と自制心を持ってレスリングの練習に臨む生徒たちも当時の自分と同じ気持ちだと感じた。
昔は生徒たちと同じように、自分の情熱に従って行動していたことを同氏は思い出した。以前はソフトウェアエンジニアとして働いていたが、大きな夢を追い求めていた今は亡き友人に刺激を受け、写真家に転身した。
ファドナビス氏は「少女たちが多くの機会や正しい道に導いてくれる指導者に恵まれていることは素晴らしかった」とし、「誰かが自分を信じ、ポジティブなエネルギーを高めてくれると、我々も仕事やスポーツで良い成果を出しやすくなる」と付け加えた。
朝練でウェイトトレーニングをする男子生徒。日曜を除き、生徒たちは朝4時に起床する/Anushree Fadnavis/Reuters
最近、アルティウスの生徒スワティ・ベルワルさんが、第37回インド全国大会でメダルを獲得したが、全ての生徒がメダルや賞金を目指して競技を行っているわけではない。
それでも、いつか彼女たちが学校を卒業する時には、より広い支援ネットワーク、友情、そして大人になっても忘れることのないさまざまな教訓とともに巣立つことになる。
アルティウスを創設したシャルマ氏は、「この学校を開校し、(生徒たちが)メダルを獲得し始めた時、かつて牛や水牛を放牧していた少女たちが、家族の男性たちから大切にされていると知り、うれしかった」と述べ、さらに「彼女たちが職に就いて、自分の車を購入し、今は何かしら社会に還元していると知り、喜びを感じた」と付け加えた。