マスク氏、Xでの元CNNキャスターとの提携を解消 インタビュー受けた直後
ニューヨーク(CNN) CNNの元司会者、ドン・レモン氏は13日、米起業家イーロン・マスク氏との提携が崩壊したことを明らかにした。先週、自身が立ち上げた独立系ネット番組でマスク氏のインタビューを実施した数時間後、関係解消に至ったという。
レモン氏は声明で、マスク氏から本人のソーシャルメディア、X(旧ツイッター)の動画番組への参加を公に打診されていたと説明。マスク氏は「全面協力」を約束し、「多様な声と直接提携することに関心を示していた」という。
13日にCNNのインタビューに応じたレモン氏は、マスク氏とのやり取りについて語り、90分のインタビューから抜粋した動画を共有した。この中でレモン氏はマスク氏に様々な質問を投げかけている。
具体的にはマスク氏による昨年のプラットフォームの買収以降、X上で急増したヘイトスピーチ(憎悪表現)について追及。本人並びに企業として、憎悪に満ちた内容の抑制に責任があると認識しているかどうか尋ねた。
これに対しマスク氏は、「自分には記者からの質問に答える義務はない」と返答。自分がインタビューを受けている唯一の理由はレモン氏がXのプラットフォーム上で番組を持ち、インタビューを依頼してきたからだとし、そうでなければインタビュー自体受けなかったと述べた。
レモン氏はまた、マスク氏が最近行ったトランプ前大統領との会談について質問した。これに先立ちCNNは、トランプ氏が過去数週の間にフロリダ州パームビーチで開いた寄付者との会談の中にマスク氏とのものが含まれていたことを確認した。
質問に対しマスク氏は、友人のところで朝食を取っていたらトランプ氏がやって来ただけだと回答。話をしていたのはほとんどトランプ氏だったと付け加えた。
レモン氏は、マスク氏が薬物のケタミンの使用を公言していることにも言及。政府による機密取扱者の人物調査を受ける上で薬物の使用が問題になると思うかどうか尋ねた。マスク氏は、処方箋(せん)があるので問題にはならないと答えた。
レモン氏によれば、このインタビューは18日に新番組「ドン・レモン・ショー」の初回分としてXやユーチューブなどのプラットフォームで放送される予定。
インタビューの内容はまだ公開されていないが、事情に詳しい人物によると、マスク氏はケタミンの使用や政府による機密取扱者の人物調査、反ユダヤ主義に関する質問を受けた際、不快感を抱いていたという。
Xは声明を出し、「ドン・レモン・ショー」についてX上で検閲を受けることなく放送されると発表。ただ熟慮の末、同番組とは商業的な提携関係を結ばないことに決めたと述べた。
あるXユーザーから上記の決定の理由を問われたマスク氏は、レモン氏とCNNを攻撃。「彼のアプローチは基本的にCNNそのもので、ソーシャルメディア上のものではなかった。このやり方でうまくいかないことは、CNNが死に体である事実によって証明されている」と投稿した。「しかも本物のドン・レモンがそこにいるのではなく、ただ(CNNの元社長の)ジェフ・ザッカーがドンを通じて話しているというのが実態だった。だから信頼できなかった」と続けた。
CNNはレモン氏の新番組に関与していない。