試合中のスポーツ選手が空き巣被害、米国で増加 FBIが明らかにした手口とは
(CNN) 米国で、国際的な犯罪者によるものとみられる巧妙な住居侵入が増加しており、当局がプロスポーツの選手に対して警戒を呼び掛けている。
米プロフットボールNFLや米プロバスケットボールNBA、北米プロアイスホッケーNHLは昨年11月、チームに対し、組織化され技術のある集団が、選手が試合に出ている間も含めて、選手の家を狙って侵入していると情報を伝えた。
米連邦捜査局(FBI)が昨年12月にプロスポーツの団体に配布した通達によれば、選手の住宅は、デザイナーのハンドバッグや宝石、現金などの高級品や現金がある可能性があるとみられているため標的となっているという。
FBIの分析によれば、2024年9月から11月にかけて、組織的な窃盗犯が少なくとも9人のスポーツ選手の自宅に強盗に押し入ったとみられる。ガラス張りの裏口や窓、2階のドアなどが侵入口として狙われた。
NBAのルカ・ドンチッチ選手やNFLのジョー・バロウ選手がこうした犯罪の被害に遭っている。
FBIによれば、その手口の多くは南米の犯罪組織と類似している。そうした犯罪組織は、こうした強盗に備えて、物理的、技術的な監視を行っている。窃盗犯は、一般に公開されている情報やSNSを利用して、被害者となる人物の生活習慣を特定し、家庭内の貴重品の保管場所を事前に把握していることも多いという。
当局によれば、窃盗犯は高度な偵察と準備によって、スポーツ選手への強盗を「特に試合中や遠征中」に非常に迅速に行うことができるようになった。
NFLも昨年11月、窃盗団がチームのスケジュールを悪用し、試合のある日に選手の自宅を狙っているようだと警告していた。
当局は、窃盗団がスポーツ選手を狙った強盗の高度な準備と実行の一環として、高度な科学技術を駆使していると警告している。
FBIによれば、窃盗団は警報システムをう回しているほか、妨害装置を使ってWiFiの接続をブロックして端末を使用不能にし、身元を隠すなどしている。
カリフォルニア州オレンジ郡の検察は以前、CNNの取材に対し、一部の事件では、容疑者がカモフラージュを保つためギリースーツを着用して待機していたと明らかにしていた。
窃盗を行った容疑者の中には、カモフラージュを保つためギリースーツを着用していた者もいた/Orange County D.A.
FBIは選手に対し、強盗が計画されていることを示す潜在的な兆候を警戒するよう呼び掛けている。
そうした手がかりには、ドローン(無人機)や電波妨害機、GPS装置、カメラ、熱画像装置などの監視ツールや、錠前をこじあける道具やバール、ドライバー、スライドハンマーなどの窃盗用の道具を使用している個人の観察が含まれる。
そのほか、芝刈りの作業員や食料の配達員、整備士などを装い、選手を自宅まで尾行する人や、不規則な配達車両や企業が頻繁に出没することにも警戒するよう促している。