人工知能の軍事利用に警鐘、E・マスク氏ら著名人が公開書簡
香港(CNNMoney) 著名な科学者やハイテク企業のトップが、人工知能(AI)の軍事利用拡大に警鐘を鳴らしている。主要国のいずれかが自動操縦の可能な兵器を本格導入すれば各国による開発競争へ発展することは避けられず、世界情勢の急速な不安定化につながるとみられるためだ。
アルゼンチンのブエノスアイレスでこのほど開催された人工知能国際合同会議(IJCAI)で、研究者や企業家のグループによる公開書簡が出された。書簡の署名者には英国の理論物理学者、スティーブン・ホーキング氏や、米宇宙ベンチャーのスペースXを創業したイーロン・マスク氏、米アップルの共同創業者のスティーブ・ウォズニアック氏らが名を連ねる。
書簡では、自動操縦の無人爆撃機や銃火器を操る人型ロボットといったAI搭載型の兵器について「火薬、核兵器の登場に続く第3の革命ととらえられている」と指摘。そのうちの一部は「数年以内に実用可能になる」と予測する。
その上で「AI兵器は、暗殺や国家の不安定化、人々の制圧、民族集団を選別しての攻撃などに威力を発揮する。このような兵器の開発競争が人類にとって有益なものとなるはずがない」と訴えている。
今年4月には、米ハーバードロースクールと国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチが自動操縦型武器の禁止を求める報告書を共同で発表した。
すでに各国の軍隊は、ミサイル防衛の領域での自動化に取り組んでいる。米海軍はガトリング砲で対艦ミサイルを破壊する完全自動の防空システム「ファランクスCIWS」を導入。またイスラエル軍も、「アイアン・ドーム」と呼ばれる対空迎撃ミサイルシステムを構築している。