NY判事、アップルの主張認める スマホのロック解除で
ニューヨーク(CNNMoney) 米連邦当局が米アップルに対し、薬物取引業者のスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のロック解除に協力するよう求めている問題で、ニューヨーク州東部地区連邦地裁の治安判事は29日、当局が主張する法的根拠は認められないとの判断を下した。
この裁判で問題になったのは、2014年に覚せい剤取引の疑いで逮捕され、検察との司法取引に応じた容疑者のiPhone。麻薬取締局(DEA)は昨年、容疑者の取引相手や業者仲間を突き止めるために捜査令状を取り、iPhoneに記録されたデータを調べようとしたが、ロックを解除することができなかった。
司法省は、裁判所が令状を出す権限を定めた1789年の「全令状法」を根拠に、アップルにロック解除への協力を要請していた。しかし治安判事は、捜査当局がこの法律を使ってアップルに協力を強制することはできないとの判断を下した。
アップルはこのほか、昨年12月にカリフォルニア州で起きた銃乱射事件をはじめとする米国内10件、計13台のiPhoneについてロック解除を求められている。
アップル側は、当局の命令に従った場合、全世界で使われているiPhoneのセキュリティーが侵害されると主張してきた。
ただDEAは今回の件について、アップルは当初、協力を承諾していたと指摘する。司法省は29日に出した声明で、アップルは裁判所が当局の要請を発表した時点で拒否に転じたと述べ、アップル側の主張は顧客への体面を保つためのジェスチャーにすぎないとの見方を示唆した。
連邦当局は今回の判断について上訴する構えを示している。