ウイルス拡散阻止の「英雄」逮捕、別のウイルスに関与か 米
サンフランシスコ(CNNMoney) 米国当局は4日までに、コンピューターウイルスの作成や流通に関与したとして英国の研究者を逮捕した。この研究者は各国で今年5月に猛威を振るったランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の拡散を阻止したことで知られていた。
米司法省によると、マーカス・ハッチンズ容疑者(22)は、2014年7月~15年7月にかけ、「クロノス」と呼ばれるウイルスの作成や流通に関与したとして、ラスベガスで2日に逮捕された。
調べによると、ハッチンズ容疑者は同ウイルスを作成してインターネットで共有したとして、ウィスコンシン州の当局が行方を追っていた。クロノスはパスワードや個人情報などを盗み出し、被害者のコンピューターに不正なコードを挿入する。
ハッチンズ容疑者は今年5月、150カ国以上でサイバー攻撃を仕掛けたランサムウェア「ワナクライ」の拡散防止に貢献したとして、インターネットで英雄的存在になっていた。
ワナクライはコンピューターを人質に取って300ドルの身代金を要求するウイルス。世界中に感染が広がり、英国の病院で患者の診療ができなくなるなどの被害も発生した。
セキュリティ企業でウイルス研究に携わるハッチンズ容疑者は、ワナクライの拡散を食い止める「キルスイッチ(停止スイッチ)」を開発していた。