情報処理チップに不具合か、数十億の機器に影響の恐れ
サンフランシスコ(CNNMoney) 米インテルや米AMD、英ARMなどの情報処理チップに不具合が存在し、膨大な数のコンピューターやスマートフォンがセキュリティー面で脆弱(ぜいじゃく)な状態に陥っている可能性があることが4日までに分かった。複数の研究者が明らかにした。
この不具合が存在する場合、パスワードなどメモリー内に格納されている機密性の高いデータの読み取りを攻撃主に許してしまう可能性もある。不具合の特定に尽力したオーストリア・グラーツ大学の研究者は、実際に攻撃を実行するのは難しいのではないかとの見方を示しつつも、数十億の機器が影響を受けていると指摘した。
不具合は2種類で、名称はそれぞれ「メルトダウン」と「スペクター」。研究者によれば、スペクターにはパソコンやスマートフォンなど、ほぼあらゆる処理システムが影響を受けている。メルトダウンの方はインテル製のチップに特有の不具合とみられるという。
こうした不具合はコンピューターの脳の役割を果たすプロセッサーの中に存在する。現代のプロセッサーは「投機的実行」と呼ばれる処理を行うように設計されており、どのようなタスクの実行要請が来るかを予測し、瞬時にメモリーの複数の領域にアクセスする仕組みとなっている。
本来こうしたデータは保護・分離されているはずだが、一部の事例においては、プロセッサーがデータを整序している間に、情報が無防備な状態にさらされる恐れがあるという。
各国の政府機関は、ユーザーに対し今回の脆弱性に関して警告する声明を発表。コンピューター関連の緊急対応を担う米機関はこの不具合について、「機密性の高い情報へのアクセスを攻撃主に許してしまう可能性がある」と指摘した。ただ、現時点ではこうした動きを把握していないとしている。