3Dプリンター、航空機製造で存在感増す 納期短縮やコスト削減へ
国際航空運送協会(IATA)の予測によれば、旅客数は今後20年で倍増して2037年には82億人に達する。必要となる航空機数も大幅に増える見通しで、3Dプリンターの出番となりそうだ。
エアバスのビッタディーニ氏は「製造ペースを上げている。我々は多くの教訓を学んだ」と話す。エアバスはエンジン不足への対応に苦戦し、単通路機「A320ネオ」の納入に遅れが出た。
18年11月末時点でのエアバスの受注残数は7337機で、現在の製造ペースいくと消化に9年かかる。一方、ボーイングも9月末の段階で5849機の受注残を抱えている。
3Dプリンターにより軽量素材の使用が可能となり、環境対策にも一役買うとみられる。
ビッタディーニ氏は「世界の航空機数は15年ごとに倍増する。ビジネス面では素晴らしい」としつつ、「問題は排気や騒音、炭素燃料の消費も2倍になることだ。これは維持不可能だ」と指摘する。
排気量減少の理屈は単純だ。より軽い航空機の導入で燃料消費が減少する。「必要なところにだけ材料を使うことが可能となり、最大で55%の軽量化を実現できる」(ビッタディーニ氏)
一部の専門家からは、ハッカーが欠陥を意図的に挿入して、部品の強度を弱める可能性を懸念する声も出ている。
2016年の実験では、大学の研究グループがこの危険性を実証。3Dプリンターのハッキングによりプロペラに欠陥を組み込むことで、ドローンを墜落させた。
ボーイングとエアバスは両社とも、規制当局から安全と認定された方法でのみ3Dプリンターを使う方針だ。