3Dプリンター、航空機製造で存在感増す 納期短縮やコスト削減へ
ロンドン(CNN Business) 今度搭乗する航空機は部品の一部が3Dプリンターで製造されている可能性が高そうだ。世界の大手航空宇宙企業は現在、3Dプリンターの使用を増やし、製造工程のスピードアップや資金の節約、燃費の改善に取り組んでいる。
米ボーイングや欧州エアバスでは、3Dプリンターの活用が膨大な受注残の消化につながりそうだ。また、従来の手法に比べて高品質の部品を製造することも可能になる。
エアバスのグラチア・ビッタディーニ最高技術責任者(CTO)は3Dプリンター技術について、「通常の切削加工では実現不可能な複雑さの部品を製造できるようになる」と話す。
エアバスは2014年、3Dプリンターによる部品を使った初の航空機を離陸させた。この部品というのは小さなチタン製ブラケットで、重いエンジンを支えるパイロンの一部となっていた。
こうした技術は今や、新造機の需要増大に対応する航空機メーカーにとって欠かせないツールになっている。
3Dプリンターは素材の層を幾重にも重ねることで固体を作りだす。材料にはプラスチックが使われることが最も多いが、最近はチタンやステンレス、セラミックス、砂も増えてきた。
この技術は別名「アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)」としても知られ、試作品や個人用品の製造のほか、本来は、鋳型(いがた)や特殊な機械が必要な製品を作るのにも使われている。
航空機メーカーや部品供給業者ーにとっては、高価な道具や鋳型の必要性を減らすのに役立ちそうだ。
ボーイングはこれまで、3Dプリンターで6万個の航空機部品を製造。全体で見ればわずかな割合だが(通常のボーイング747型機には600万個の部品が使われている)、積極投資を続けている。
2018年8月には、金属部品製造の速度や量の向上につながるとの理由から、3Dプリントを手掛ける企業デジタルアロイに出資した。一方、エアバスもベルギーに本社を置くマテリアライズと提携している。