シンガポールで偽ニュース防止法成立、IT企業が懸念を表明
ロンドン(CNN Business) シンガポールでインターネット上で広がるフェイク(偽)ニュースを防止し、拡散に関与した団体などに刑事罰を科す法案が国会で可決され、米IT企業大手は批判をにじませる姿勢を示した。
新法には、ソーシャルメディアが罰金回避のため利用者を検閲し、結果的に言論の自由を損ねるなどの反発が出ている。
シンガポールにアジア本部を置くグーグルは、同法が技術革新に悪影響を与えることを懸念すると指摘。同法の運用方法が問題と強調した。
フェイスブックは新法の内容への危惧があると主張。適用に当たって慎重な対応などを求めるとした。ツイッターは懸念を政府に非公式に伝えたとして、同法の運用方法についての不透明さに注意を喚起したとした。
今月8日に可決された同法は、シンガポールの安全保障、安寧(あんねい)な社会環境や他国との友好関係に脅威を与えるフェイクニュースを罰すると規定。インターネット上で憎悪を駆り立て、政府への信頼を減じるような情報拡散などを禁止した。
規定に違反した企業などには最大で100万シンガポールドル(約8100万円)の罰金を科す。個人には10万シンガポールドル以下の罰金と10年以下の禁錮刑を科す。
フェイクニュース防止に関するソーシャルメディア企業への圧力は世界規模で広がっている。先月にはパリでニュージーランド、フランス政府がIT企業の責任者を呼んでインターネット上の過激な見解の流布を封じ込める対策などで意見交換を行う計画を発表していた。