660億円の暗号通貨流出事件、「遊びでやった」と一部返金
ワシントン(CNN Business) 分散型の暗号資産(仮想通貨)取引システムを手掛けるポリ・ネットワークは、暗号通貨6億ドル(約660億円)相当が何者かに盗まれたと発表した。業界史上最大の被害額になるとしている。
ポリ・ネットワークの10日の説明によると、何者かが同ネットワークの脆弱(ぜいじゃく)性を悪用して暗号通貨を盗み出した。同社は犯人に宛てた書簡をツイッターに掲載し、「あなたがハッキングした金額は、分散型金融業界史上最大だ」「あなたが盗んだ金は、何万人もの暗号コミュニティーメンバーのものだ。解決に向けて私たちと話し合ってほしい」と呼びかけた。
同社は同業他社に対しても、犯行に使われたアドレスからの資産を「ブラックリスト」に登録するよう促した。盗まれた暗号通貨の中には、テザーの3300万ドルなどが含まれる。テザーはその後発表した声明で、攻撃のことを知ってから20分以内にその資産を凍結したと発表した。
暗号通貨取引所のバイナンスは「積極的な支援のために全セキュリティーパートナーと連携する」と表明した。
ポリ・ネットワークは複数の仮想通貨のブロックチェーン同士を接続して、相互運用ができるサービスを提供している。
流出を受けてポリ・ネットワークは、犯人に返金してもらうためとして複数のアドレスを用意した。犯人もこれに協力している様子だ。ポリ・ネットワークは米東部時間11日午前7時47分現在、約470万ドルが返金されたことを明らかにした。
ブロックチェーン調査会社のチェーンアナリシスによると、同日午後までに返金された額は約2億6100万ドルに上った。犯人は取引に添えたメモの中で、ポリ・ネットワークに対するハッキングは「遊びでやった :)」と主張。「インサイダーが隠蔽(いんぺい)して悪用する前に脆弱性を暴露した責任は私にある」と記している。