中国アリババ、従業員を解雇 女性への性的暴行疑惑めぐり
香港(CNN Business) 中国のネット通販大手アリババ集団は9日、同じ社内で働く女性に性的暴行を加えた疑いがあるとして従業員1人を解雇したことを明らかにした。
この男性従業員は性的暴行を働いたことを認めており、アリババはこれを「会社の方針に対する重大な違反」としている。グループの会長兼最高経営責任者(CEO)、ダニエル・チャン氏が従業員向けに送付したメモで分かった。
上級社員2人も、「従業員保護を最優先にしなかった」ため辞任したという。
アリババの広報担当者はCNN Businessへの声明の中で、「性的不品行は一切容認せず、すべての従業員に安全な労働環境を確保するのがアリババの方針だ」と強調した。
今回の問題は先週末にかけ、中国国内のソーシャルメディア上で広く取り上げられた。以前からアリババをはじめとする同国のハイテク企業は、当局からのすさまじい監視の目にさらされている。
疑惑が発覚したのは被害者自身のものとみられる匿名の投稿がきっかけだった。アリババ社内のウェブサイトで公表されたこの投稿は、中国の大手SNS「微博(ウェイボー)」で拡散した。
8000語に及ぶ説明文の中で被害者の女性は、中国東部の済南に出張した際、上司から暴行されたと訴えている。女性はその時、酒に酔っていたという。
CNN Businessは投稿内容の信憑(しんぴょう)性を確認していない。
済南の警察は8日、ウェイボーで事件に関する捜査に着手したと発表した。加害者とされる従業員は、これまでのところいかなる罪でも訴追されていない。
チャン会長兼CEOは、同社の人材活用の責任者もけん責処分を受けたとしたうえで、今後従業員が被害を通報するための専用経路を設置する考えを示した。
また事件を受けて「飲酒を強要する文化」の存在が浮き彫りになったとも認めた。中国ではビジネス上の契約や提携関係を結ぶ上で、大量のアルコールを摂取する場を設けるのが好まれるという。