EUと英、ロシアのサイバー攻撃を非難 ウクライナ侵攻時に衛星通信が標的に
(CNN) 欧州連合(EU)と英国は10日、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻開始時にウクライナと欧州の一部地域でインターネットサービスを停止させた衛星モデム数万台に対するハッキングでロシアを非難した。
米通信会社ビアサットが所有する衛星ネットワークへのサイバー攻撃は、ウクライナでの戦争で最も重大なサイバー事件の一つ。ロシアが本格侵攻する1時間前にウクライナ国内の通信を遮断した。また、衛星ネットワークに頼っていたドイツの風力タービン数千基が停止するという被害も発生した。
ウクライナのサイバー担当トップは3月15日、ハッキングについて「戦争のまさに始まりにおける実に大きな通信の損失」と形容した。
欧州理事会は10日、「この受け入れ難いサイバー攻撃は、これまでもあったロシアのサイバー分野における無責任な行動の新たな例であり、違法かつ不当なウクライナへの侵攻の不可欠な要素を形成した」と声明で述べた。
英国の外務・英連邦・開発省は「英国と米国の新たな情報により」ロシアがビアサットのネットワークのハッキングに関与したことが示唆されたと発表した。
ブリンケン米国務長官は10日、EUやその他の国々を支援するため、「ロシアが2月下旬に、侵攻中のウクライナの指揮統制を混乱させるために商業衛星通信ネットワークにサイバー攻撃を仕掛け、それらの行為が他の欧州諸国にも波及したという分析を公に共有している」と述べた。
また、「ロシア軍が『ウィスパーゲート』を含む複数の破壊的なワイパー型マルウェア(悪意あるプログラム)をウクライナ政府と民間企業のネットワークに展開したと分析している」と明らかにした。