欧州委員会、公務の端末からティックトック排除へ
ワシントン/ロンドン(CNN) 欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会は23日、動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を公務の端末から排除する措置を打ち出した。サイバーセキュリティーについての懸念を理由に挙げている。ティックトックを巡っては、ユーザーデータの取り扱いについて西側政府と運営会社との対立が続いている。
欧州委の職員は来月15日までに、中国企業バイトダンスの所有するティックトックを、同委のアプリやサービスを使用する業務用およびあらゆる個人用端末から削除しなくてはならない。
欧州委はEUにおける立法の提案と法執行、予算の執行に責任を持つ。常勤と契約従業員を合わせ、約3万2000人の職員を抱える。
同委は23日の声明で、今回の措置について、サイバーセキュリティーの脅威から委員会を守るためのものと説明。委員会の事業環境に対するサイバー攻撃に利用されかねない行動を防ぐ目的があると述べた。
委員会の報道官は記者団に対し、ティックトック禁止は「一時的な」措置であり、定期的な検証を通じて再評価が行われる可能性もあると明らかにした。ただ別の報道官は、禁止措置解除の条件についてこの場で言及するつもりはないと述べた。
ティックトックには一段の圧力がかかった形だ。同アプリは既に、米連邦政府の端末や一部の州当局の端末から排除されている。背景にはアプリのユーザーデータが最終的に中国政府の手に渡るのではないかという懸念がある。
ティックトックは以前、欧州のユーザーに対し、中国を拠点とする従業員がEU諸国のユーザーのデータにアクセスする可能性があると明かしていた。
ただ同社は23日、欧州委による禁止措置に反発。「見当違いであり、根本的な誤解に基づいている」と主張した。
また広報担当者はCNNと共有した声明の中で、事前に欧州委に連絡を取り、EUのユーザーのデータをどのように保護しているかについて明確な説明を行ったと指摘した。