ツイッター、メタに訴訟の可能性示唆 対抗アプリの正式提供開始後
(CNN) 米ツイッターが、SNS大手フェイスブック親会社の米メタに対して訴訟を起こす可能性を示唆していることが7日までに分かった。メタは5日、ツイッターに対抗する新アプリ「スレッズ」の正式提供を開始。提訴の可能性の示唆は、ツイッターがスレッズを競争上の脅威と見なしていることを表す明確な兆候とも考えられる。
5日、ツイッターを代表する弁護士がメタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)宛てに書簡を送った。それはメタがツイッターの元従業員を雇用することで同社の企業秘密を盗んだと非難する内容だった。
書簡についてはニュースサイトのセマフォ―が最初に報じた。事情に詳しいある人物はCNNの取材に答え、書簡の内容が真正であることを確認した。
ツイッターの弁護士を務めるアレックス・スピロ氏によるこの書簡は、メタが「組織的、意図的、かつ非合法的にツイッターの企業秘密と知的財産を不正流用した」と糾弾した。
ツイッターのオーナーのイーロン・マスク氏は書簡の報道を受け、「競争は結構だが、不正はよくない」とツイートした。
書簡はさらに、メタがツイッターの元従業員を複数雇用したと指摘。この元従業員らはツイッターの文書や電子機器を不適切に所持しており、メタは「故意に」彼らをスレッズの開発に携わらせたと主張する。
その上で「ツイッターは自社の知的財産権を厳格に行使する意向だ」と続け、メタに対し「速やかな措置を講じて、あらゆるツイッターの企業秘密もしくは高度な機密情報の使用を停止することを要求する」と述べている。
メタの広報担当者は、書簡の内容を一蹴。スレッズの開発チームにツイッターの元従業員は一人もいないと、スレッズ上で明言した。
過去のツイッターの競合相手と異なり、スレッズは急速な成長が見込まれる。ザッカーバーグ氏によれば、アプリの正式提供の初日で登録件数は3000万件に到達。米アップルのアプリ配信サービス「アップストア」では、6日午後の時点で無料アプリのトップに立っている。
今回訴訟の可能性を示唆したからといって、必ずしも実際の法廷闘争につながるとは限らない。メタの勢いをそぐ戦略の一環とみる向きもある。
リッチモンド大学の法学教授、カール・トビアス氏はCNNの取材に答え、弁護士の行動について、訴訟をちらつかせてメタを面倒な立場に追い込むところに一定の価値があるのかもしれないとの認識を示した。