米議会、ティックトック禁止法案を可決 大統領の署名で成立へ
ワシントン(CNN) 米議会は23日、中国系の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を米国全土で禁止する可能性のある法案を可決した。ティックトックの米国での事業運営に対する脅威が一段と高まっている。
この法案は、イスラエルとウクライナを支援するための広範な対外支援策の一部として上院を通過した。下院では20日に可決している。バイデン米大統領がこの法案に署名した場合、ティックトックは数カ月以内に新しい所有者を見つけない限り、米国から完全に追放されることになる。
現在の状況と米国内の利用者の今後の影響について以下にまとめた。
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ティックトック禁止法案の内容
この法案は、ティックトックを傘下に持つ中国のネット大手バイトダンスに対し270日以内にティックトックを売却するよう求めている。売却できない場合、ティックトックは米国のアプリストアや、ティックトックを支えるインターネットのホスティングサービスから締め出される。
これは事実上、アプリの新規ダウンロードやコンテンツ上でのやり取りが制限されることを意味する。バイデン氏が今週署名すれば、売却期限は2025年1月となる。ただしバイデン氏が売却に向けて進展があったと判断した場合、期限を90日間延長することができる。
バイデン氏は法案に署名するか
この法案はバイデン氏が支持している対外支援パッケージの一部であるため、速やかに署名するとみられる。バイデン氏は3月に提出された元のティックトック法案を支持していたため、ティックトックにより長い時間的猶予を与え、ホワイトハウスが強制売却について支援できる最新版の法案に反対すると考えられる理由はほとんどない。
アプリの利用にはどのような影響があるか
バイデン氏が法案に署名し、その後バイトダンスが270日以内に買い手を見つけなければ、ユーザーは来年1月までにティックトックを利用できなくなる可能性はある。
ティックトックが取りうる選択肢
ティックトックはバイデン氏が法案に署名した場合、米政府を提訴すると断言している。ティックトックの幹部は20日、従業員に宛てたメモで、訴訟について、米国人の言論を検閲し、アプリに依存する中小企業に害を及ぼすという同社が呼ぶところの違憲の法案に異議を唱える長いプロセスの「始まりであり、終わりではない」と述べた。ティックトックの周受資・最高経営責任者(CEO)は3月、「法的権利の行使を含め」戦い続けると宣言した。
ティックトックは訴訟に踏み切るか
「表現の自由」を定めた憲法修正第1条の専門家によれば、究極的にはティックトックユーザーを検閲するという効果を持つ同法案は裁判所によって却下される可能性があるという。
同専門家は、法案はティックトックを禁止することで米国人が海外からの情報、アイデア、メディアにアクセスする憲法上の権利を侵害することになるものの、実際の見返りはないと指摘。中国やその他の外国の敵対勢力は依然として、ブローカーから公開市場で米国人の機密情報を購入することができるかもしれないという。
ティックトックが売却されたらどうなるか
ティックトックの親会社は中国の法律に準拠しており、中国政府は売却に反対していると報じられている。
中国は近年、アルゴリズムを管理する輸出規制を実施しており、この政策はティックトックのレコメンドエンジンを支えているアルゴリズムにも適用されるとみられる。
中国政府がバイトダンスにティックトックのアルゴリズムを手放させたくなければ、売却を全面的に阻止する可能性がある。あるいは、その人気の基礎となっているアルゴリズムは除外したうえでの売却を認める可能性もある。
ティックトックはアルゴリズムなしで成功できるだろうか。1億7000万人の米国ユーザーを引き付けたアルゴリズムがなければ、アプリは死んだも同然になるかもしれない。