クラウドストライクの大規模障害、損失1600億円か 賠償責任の負担先は?
ニューヨーク(CNN) 19日に発生した世界規模の障害は、5000便以上の民間航空便の欠航のほか、小売り販売や荷物の配送から病院での手続きまで多くのビジネスを混乱に陥れた。
この問題は、米サイバーセキュリティー企業クラウドストライクのソフトウェアのコンテンツ更新における一部のコードの不具合が原因で発生した。不具合の修正には時間がかかるとみられ、すべてのシステムが完全に復旧するまでに数日かかる可能性がある。
クラウドストライクは謝罪したが、影響を受けた顧客に補償を提供する予定があるかどうかについては言及していない。
専門家は賠償金の要求や訴訟の可能性は大いにあるとみている。
1600億円の請求
専門家の多くは現時点では今回の世界的なインターネット障害の費用を正確に把握することはできないとしている。一方で、ストライキなどによりビジネスが中断された場合の経済損失の推定を専門とする調査会社は、今回の損失は優に10億ドル(約1600億円)を超える可能性があると話す。
この調査会社は、自動車の仲介業者にソフトウェアを提供する米CDKグローバルが最近被害にあったサイバー攻撃による経済損失がおよそ10億ドルであったことを引き合いに、今回の障害はそれよりもはるかに多くの消費者や企業に影響を与えており、簡単には取り戻せない自己負担費用を発生させたと指摘している。特に航空会社では欠航による収入減や、出発はしたものの大幅な遅延に見舞われ人件費や燃料費がかさんだことにより、甚大な損失が発生する可能性があるという。
クラウドストライクはサイバーセキュリティー分野の有力企業だが、収益は年間40億ドル弱にとどまる。
ある専門家は、クラウドストライクは顧客との契約で法的保護を受け、責任を追及されずに済む可能性があるという。この専門家は、2020年後半にロシアが連邦政府機関をハッキングしたことに関連してソフトウェア企業であるソーラーウィンズが米証券取引委員会(SEC)によって提訴されたものの、裁判所が棄却した事案を指摘した。
クラウドストライクがどれだけの顧客を失うかも不明だ。
ある投資会社は、クラウドストライクの地位が確立していることから、今回の件で離反する顧客は5%に満たないと見立てている。