失われた大陸のかけらを求めて、「マウリティア」の痕跡を探す旅 モーリシャス
アシュワル氏は「モーリシャスのジルコンは大半がおよそ500万~600万年前のものだが、一部は30億年近く前にさかのぼる」との見方を示す。地球の歴史は45億年ほどでしかないため、30億年前のジルコンは地球の最初期を示していることになる。
アシュワル氏は、ここまでの古さのジルコンを見つけるには大陸におもむかねばならず、海にはこれほど古い大陸由来の物質を発見できる場所はないとも指摘。「モーリシャスは海にあり、この岩は古代のジルコンを含んでいる。ということは、モーリシャスの下には大陸の一部があるに違いない」と述べる。
これが示しているのは、ゴンドワナ大陸の分裂が従来の想定ほどきれいなものではなかったということだ。複数の大陸が分かれていくなかで破片が欠け落ち、その過程で見失われた。未発見の大陸地塊がインドに向かって伸びている可能性もある。
残念なことに、ジルコンも顕微鏡で見ることしかできない。ただ、発見地の一部は人気観光地の近くにあり、簡単に訪れることができる。
南緯20.3711111度、東経57.70111111111111度 オランダ人初上陸地点の近く
この座標をたどると、サトウキビ畑やマングローブが生い茂る地域に至る。実際にたどり着くのは難しい場所だが、オランダ人初上陸の地点を示す記念碑から容易に見渡すことができる。
オランダ人は1598年9月20日に初めてモーリシャスに上陸した。アラブの人々や、後にポルトガルの人々にも島については知られていたが、だれも移住することはなかった。オランダの人々も植民地を作ったものの、後に放棄した。
記念碑そのものはあまり見どころがないが、高速道路のドライブで豪華な眺めが楽しめるほか、古い要塞(ようさい)が点在する光景も目にすることができる。