世界一環境に優しいクルーズ船を 日本のNGOが建造計画
パリ(CNNMoney) 豪華客船でのクルーズが人気を呼ぶ一方で船による環境汚染が問題視されるなか、日本の非政府組織(NGO)が環境に優しいクルーズ船の建造計画に取り組んでいる。
国際交流をテーマにしたクルーズの企画で知られるNGO「ピースボート」の新たな船「エコシップ」は、2020年の就航を目指している。建造はフィンランドの造船会社「アークテック」に発注した。
約5億ドル(約570億円)とされる費用の一部は、経済的利益とともに社会的な問題の解決を求める基金や個人など「インパクト投資家」から調達するという。
ピースボートは欧米や中国、日本のインパクト投資家に働き掛けている。投資者には株式または債券を通して利益を還元したい構えだ。残りの額については融資を受けるか、インターネット経由で広く一般市民から寄付を募る「クラウドファンディング」での調達も検討する。
ピースボート創設メンバーの1人、吉岡達也共同代表は「長期的なビジョンを共有できる相手を慎重に選ばなければ」と話す。ユニークな試みだけに、保守的な従来の出資者を説得するのは難しい面もある。
ドイツの環境団体「自然保護連盟(NABU)」によると、従来のクルーズ船は毎日何百トンもの重油を燃焼し、100万台の自動車に相当する粒子状物質(PM)を排出する。
しかしエコシップは太陽光や風力、液化天然ガスを組み合わせたクリーンなエネルギーを利用し、二酸化炭素(CO2)の排出量を従来型の6割に抑えることができる。