格納庫に眠る2機目のAn225、世界最大の未完成機に迫る

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ムリーヤの製造目的は、ソ連版スペースシャトル「ブラン」をカザフスタンの発射台まで運ぶことだった/SVF2/Universal Images Group Editorial/UIG via Getty Images

ムリーヤの製造目的は、ソ連版スペースシャトル「ブラン」をカザフスタンの発射台まで運ぶことだった/SVF2/Universal Images Group Editorial/UIG via Getty Images

「ゾウのダンス」

ムリーヤは今日に至るまで史上最も重い航空機であり続けている。ターボファンエンジン6基を搭載しており、最大積載重量は250トン。現在稼働中の航空機として最長の翼幅も誇る。

その巨大さから、パイロットはAn225の操縦に対応するため特別訓練を受ける必要がある。同機には変わった特徴のひとつとして「ゾウのダンス」と呼ばれる動作能力もあるが、これは貨物の積み込みを容易にする目的で前脚が「ひざまずく」動きを指す航空用語だ。

ムリーヤが成功とされたことを受け、ソ連はもう3機のAn225を製造する計画を進めた。1989年には、やはり高い期待の中で2機目の製造が始まっている。

しかし91年のソ連崩壊に伴い、ソ連の宇宙開発計画も頓挫。その後の混乱の中でも2号機の生産は続けられたが、けっきょく94年に停止した。

アントノフは共産主義から資本主義への移行に成功したものの、ソ連による巨大航空機プロジェクトへの資金供給が止まったことで、未完成機をめぐる状況は不透明になった。

地政学的情勢の変化を受け、ムリーヤの重要性は失われた。突如として、An225の印象的な性能は現代航空業界において余分なものと見なされるようになり、巨大機は1機で十分という見方が支配的になった。

さらに、ウクライナは2014年の「革命」でロシアと対立し、部品や装置の主要サプライヤーを失う結果に。2機目のAn225の将来にはさらなる疑問符が付いた。

ジグソーパズル

アントノフによれば、2機目のAn225は70%まで完成している/Pavlo Fedykovych
アントノフによれば、2機目のAn225は70%まで完成している/Pavlo Fedykovych

しかしアントノフ社は、2号機を完成させるのは比較的容易だとしている。

民間セクターによる宇宙開発への関心が高まり、重たい荷物を輸送するニーズも見込まれる中、2号機の運命が確定するのはまだこれからかもしれない。

2機目のAn225は現在、およそ70%まで完成した状態。胴体や主翼、前脚、尾部などの主要部品はすべて製造が終わっている。

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