今も実在する「貴族猫」、エルミタージュ美術館に受け継がれる伝統 ロシア

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国立エルミタージュ美術館の地下には約50匹の猫が住み着いている/Olga Maltseva/AFP via Getty Images

国立エルミタージュ美術館の地下には約50匹の猫が住み着いている/Olga Maltseva/AFP via Getty Images

(CNN) ロシアのサンクトペテルブルクにある国立エルミタージュ美術館。大広間を歩くと、足元の配管からかすかな鳴き声が聞こえてくるかもしれない。

かつてロシア皇帝の宮殿だった「冬宮」の地下に広がる空間では、50匹ほどの猫たちが、まるで王族のような待遇を受けている。「猫の家」と呼ばれるメインルームでエルミタージュの職員に食事などの世話をしてもらい、必要な時は獣医師が駆け付ける。

宮殿には、仲間の猫たちとの触れ合いを好まない非社交的な猫たちのための特別な部屋もある。地下の広間を散歩したり、大きなパイプの上に寝そべったり、宮殿の隅々まで自由に駆け回ったりする猫もいる。

エルミタージュには猫専用の報道官、マリア・ハルトゥネンさんもいる。猫たちは展示室には入れないため、一般客の目に触れることはほとんどない。それでも人気の高さは変わらないとハルトゥネンさんは言う。

「多分、とても温厚だからかもしれないし、巨大な美術館と可愛い猫という変わった組み合わせのせいかもしれない」。ちなみにハルトゥネンさんには猫アレルギーがあるという。

美術館の守護者

現代のエルミタージュ美術館は5つの建物が一般に公開されており、その中心にあるのが冬宮だ。300年ほど前に建造された宮殿には、最初から猫がいた。女帝エリザベータが布告を出し、宮殿の地下のネズミを退治させるため、サンクトペテルブルクの南東にあるカザンの町から約1200キロをはるばる旅して猫を連れて来るよう命令した。

猫たちは今も同美術館の地下にすみついている。美術館の面積は23万3000平方メートルと世界最大級。レンブラントやマティスの作品、古代ギリシャの壺(つぼ)など300万点以上の美術品や工芸品を所蔵する。

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