世界最大の航空機、再び空を飛ぶ日は来るか

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旧ソ連版スペースシャトル「ブラン」を背に載せて飛ぶために作られた/Gilles Leimdorfer/AFP/Getty Images

旧ソ連版スペースシャトル「ブラン」を背に載せて飛ぶために作られた/Gilles Leimdorfer/AFP/Getty Images

復活

キーウを拠点とするエンジニア兼航空専門家のアンドリー・ソベンコ氏は1987年からアントノフ社に勤務し、技術クルーの一員としてAn225に搭乗したこともある。同氏は破損部分を映した大量の動画や画像を検証し、損傷を細かくリストにまとめた(安全上の懸念から、アントノフ社の職員はいまだホストメリ飛行場への立ち入りが認められていない)。

同氏も胴体中央部と機首――コクピットおよび乗務員が休憩するクルーレストを含む――が破壊されていることを認めたが、もっとも深刻な被害を負っているのは電子系統と機材だった。

「これらの修復がもっとも困難になるだろう」と同氏。「というのも、An225に搭載されていた様々な電子系統やポンプ、フィルターの大部分が1980年代当時のものだからだ」

「単純にもう製造終了になっているため、以前とまったく同じ状態に修復することはできないだろう」

必ずしも悪いニュースばかりではない。フラップや補助翼といった空力表面を含む翼の一部は被害が少なく、回収可能と思われる。

6基のエンジンの大半も無傷のようだ。尾翼は全体的に弾薬の破片による損傷を受けているが、許容範囲内の状態だ。

アントノフ社の歴史に関する著書でムリーヤ搭乗の経験をつづったソベンコ氏も、ホストメリ飛行場にある同航空機は修復不可能であるとの見方に賛同している。

「機体の修復ないし復元の可能性はない――残骸から回収した個々の部品を使って、1980年代に2機目の建造用に製造された部品と組み合わせ、新たにムリーヤを建造するしかない」

同氏が指しているのは、アントノフ社が今日までキーウの巨大作業場に保管しているもうひとつの機体のことだ。当初の計画ではAn225を2機製造する予定だったが、実現には至らなかった。

「胴体は完成済みで、新しい中央部分もすでに搭載されている。翼や尾翼部分の耐力構造も完成している。言うなれば、機体の骨格はほぼできあがっている。私が知る限り、工場がロシアの砲撃を受けていた際も機体はほとんど被害を受けなかった」とソベンコ氏は言う。

新たな設計

ホストメリから回収した部品で新規に航空機を建造する案にはひとつ大きな問題がある。必要な部品を100%そろえることはできないだろう。

「設計も機材もまったく同じ航空機を作るのは不可能だろう」とソベンコ氏も言う。そうだとすれば、アントノフ社には2つのハードルが待っている。ひとつは新旧部品を組み合わせること。もうひとつは、改めて機体の証明手続きをクリアして、耐空性と現在の航空規制への適合を確認しなければならないことだ。

ひとつめの問題に関しては同社もすでに経験済みだ。数年かけてAn225のシステムの多くを刷新し、旧ソ連時代の技術を現代のウクライナの技術に置き換えた。だが最終的に証明を得るまでには時間もかかり、コストもかさむ。

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