やがて視力を失う子らのために――世界を旅するカナダ人家族
(CNN) 遺伝性の難病で子どもたち3人がやがて視力を失うと分かり、まだ見えるうちにと世界旅行に出た家族がいる。カナダのモントリオールを今年3月に出発し、アフリカやアジアの国々を訪れている。
母親のエディト・ルメイさんと父親のセバスティエン・ペルティエさんが長女ミアさん(12)の視力の異変に気付いたのは、9年前のことだった。
初めて専門家に相談してから2~3年後、ミアさんは「網膜色素変性症」と診断された。やがて視力が低下したり、失明したりするという遺伝性の難病だ。
父母と4人の子どもたち/Edith Lemay
この時すでに息子のコリン君(7)とローラン君(5)にも症状が出始めていた。2019年に息子たちも同じ診断を受けた。長男のレオ君(9)だけは、かかっていないことが確認された。
「この病気を治したり、確実に進行を抑えたりする治療法はない」と、ルメイさんは指摘する。「子どもたちの進行の速さは分からないが、中年期までには完全に失明してしまうことを覚悟している」という。
夫妻は現実を受け入れた後、子どもたちには生きていくためのスキルを身につけてもらいたいと考えた。ミアさんを担当する専門家から「目で見た記憶」をたくさん残してあげたらと言われたのがきっかけで、旅行を思い立ったという。ルメイさんは「本の中のゾウでなく、本物のゾウを見せに行きたい」「できる限り美しい、最高のシーンで視覚の記憶を満たしてあげたい」と考えた。