航空機追跡サイト「フライトレーダー24」、その内側に迫る
このような詳細かつ局地的なデータの収集は、緊急事態や事故の早期把握に役立つ可能性がある。
ペチェニク氏によると、フライトレーダー24ではサーバーに入るデータを全て保存し、必要なら特定の受信機から生データを抽出することも可能だという。通常、それを行うのは事故が発生した場合や、航空ナビゲーションサービスプロバイダーや事故調査部門から要請があった場合に限られる、とペチェニク氏は言う。
飛行機の墜落の原因が、公式調査で明らかになる前に飛行データから判明することもある。
15年3月24日に独ジャーマンウィングス9525便の副操縦士が同機を意図的に山中に墜落させた事故では、データが事故当時の状況を極めて明確に示していた。
「ジャーマンウィングス機の墜落事故に関して我々が受信したデータ一式からMCP ALTと呼ばれるパラーメーターの一つが読み取れた。これは航空機のオートパイロット(自動操縦装置)にどのくらいの高度で飛行するかを指示するために回すノブで、ジャーマンウィングス機のデータを見ると、高度はゼロに設定されていた」(ペチェニク氏)
しかし、あらゆる飛行機のデータを全て入手できるわけではなく、トランスポンダーや受信機の種類によって入手可能なデータは異なる。
また航空機の所有者やオペレーターは、例えば米連邦航空局(FAA)が管理する「航空機データ表示制限(LADD)」プログラムに登録することにより、自分の航空機に関するデータを一般公開されないようにすることも可能だ。特に軍用機、政府専用機、自家用機のデータは非公開が一般的だ。
「この方法により、航空機のオペレーターはデータを異なる方法や匿名で表示したり、場合によっては全く表示させないようにすることも可能だ。我々が日々追跡している航空機のうち、全体の約3%は何らかの形でデータの表示が規制されている」(ペチェニク氏)