オオメジロザメとダイビング 海中ツアーに賭けるキューバ
成長産業
すでにバハマの観光会社は、サメとのダイビング体験が一大ビジネスになりうることを知っている。14年に学術誌「バイオロジカル・コンサベーション」に掲載された調査によると、バハマを訪れたダイバーはサメ観光で地元に1億ドル以上もの経済効果をもたらした。
キューバでのサメ観光はまだまだ小規模だが、ガイドたちはこの島の手つかずのサンゴ礁と、この地に生息する約100種のサメの保護活動に力を入れることで、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以来遠ざかっていた観光客が戻ってくるだろうと期待している。
ガイドの話では、パンデミック前はプラヤサンタルシアのダイビングセンターも世界中からサメ愛好家を引き付けていた。今では客の数もまばらだ。オオメジロザメと泳ぐために最近入国した一握りの観光客の中には、カナダからやってきたキャリー・プレボストさんの姿もあった。
「自分とは無縁の世界だが、こんなチャンスにめぐり逢えてとてもワクワクしている。興奮と不安が入り混じっている」とプレボストさんはCNNに語った。
サメとの初対面にむけてダイビングスーツに身を包みながら、頭の中では映画「ジョーズ」のテーマソングが鳴り響いていたとプレボストさんは打ち明けた。
「幼いころあの映画を見て、プールで泳ぐのが怖くなった。ましてや海だなんて。これは克服すべき課題だ」(プレボストさん)
海洋生物学者によれば、人間を襲うこともあるという世間の評判とはうらはらに、多くの場合、サメは危険な存在ではなく、サンゴ礁や魚の生息数を健全に保つために必要な存在だ。
観光ガイドはこの点について地元住民に啓発活動を行い、漁師にもサメが具体的な経済効果をもたらすことをアピールした。
「住民には、サメを殺したり捕獲したりしないよう言い聞かせている。我々は常にこの点に力を入れている」とスキューバのガイドのラザロ・スアレス・ザヤスさんは語った。「オオメジロザメは絶滅危惧種ではないが、この周辺で生息している。我々は天然資源としてサメを活用するのだから、保護するのは当然だ」
サメとの愛着を誇らしげに語り、サメがガイドたちを見分けられると信じているガイドもいる。