水素燃料電池を搭載する航空機、エアバスが計画発表
空の旅の脱炭素化に向けて
水素は長年、従来型のジェット燃料に代わる持続可能な代替物とうたわれてきた。可燃燃料として使うか、燃料電池によって電気を発生させる使い道がある。航空業界は世界のCO2排出量の2.8%を占めるが、他業界に比べて脱炭素化が難航しており、進歩のペースは遅い。
水素で動く航空機は20世紀半ばから開発が進められているものの、大きな壁に当たってきた。水素のエネルギー密度がケロシンに比べて低いこと、ケロシンは入手しやすく昔から低価格であることが主な障害となっている。
水素の生産や供給に必要なインフラの問題もある。エアバスのイベントでは、ギヨム・フォーリ最高経営責任者(CEO)がインフラは「大きな懸念材料だ」と警鐘を鳴らし、水素で動く航空機を35年までに導入する同社の計画に狂いが生じる可能性があると指摘した。
ただ、水素ベースの全く新しい航空機が開発される前であっても、水素は民間航空の分野の重要資源になる可能性がある。エアバスの発表の数日前、英ロールスロイスと英格安航空イージージェットは、通常の航空機エンジンを液体水素燃料で動くように改造することに成功したと発表。世界初だとしている。
この地上試験は民間機と軍用機の両方に搭載されているタイプのロールスロイスエンジンを使って行われ、すでに2回目の試験も計画されている。次回はボンバルディアの長距離ビジネスジェットに使用されているロールスロイスのエンジン「パール15」での試験も行われる見通しだ。