廃墟の村を丸ごと購入、「眠れる森の美女」が目覚めるのはいつに イタリア
ローマで働き、頻繁にサン・セベリーノに戻るというジロッキ氏は、村までの道のりは何度歩いても飽きることはなく、村は「心と精神の場所」だと述べている。
「この村の出身者やその子どもたちで、私と同じように別の場所で生まれたり、住んでいたりしても、毎年サン・セベリーノの旧集落を訪れては自分のルーツを探し、過去に両親やおじ、祖父母がどんな生活を送ったかを想像する人はたくさんいる」とジロッキ氏はCNNに語っている。
「(新集落に住む)住民も、仕事で他の場所に引っ越した人も、この土地への愛着はとても強く、彼らの心はここにある」「古い村は、下に新しくできた村を守り、新しい命を乞う古い賢者のように見える。まるで自分のルーツを再発見するためにタイムスリップしたかのようだ」(ジロッキ氏)
今のところ、サン・セベリーノ・ディ・チェントラで、公的資金によって再整備されたのは、城とそこに続く小道、そして絵画展や詩の研究室、コンサート、クリスマスにキリスト降誕のシーンが上演される小さな広場だけだ。
ダンジェロ氏によると、主に資金不足と官僚主義的な問題から、長いこと村への投資ができずにいるという。
日帰り旅行の目的地
改修を巡り、ダンジェロ氏は「多くのことはしていない」と認め、「地元の役所が改修に乗り出してくれることを期待している」と話している。
「今のところ私たちは、廃墟となった場所をそのまま所有し、保護することに満足しているが、環境に配慮した改修に意欲的な環境意識の高い投資家を見つけることに抵抗はない」(ダンジェロ氏)
ナポリの南、手つかずの自然が残るチレント国立公園にあるサン・セベリーノ・ディ・チェントラは、深い谷間の上に突き出た赤みを帯びた二つの岩にまたがるように位置している。
ミンガルド川と「悪魔の喉(のど)」と呼ばれる渓谷の上にある1本の舗装されていない小道が、新集落から、かつて農民や羊飼いの家族が住んでいた旧集落へと続いている。
岩の頂上に位置する古い家屋はアクセスが困難であったため、残りの住民たちは、他の住民が去ると、さらに下へ移動し始めたという。
旧集落には野生のヤギが頻繁に出没し、廃線になった古い鉄道の一部はコケに覆われている。
中世の歴史が残る旧集落は、最初の入植者と考えられているロンバルド族やノルマン人が建てた建築物など、さまざまな歴史の層から成る。
かつては海岸全体を支配するために作られた防衛的な集落だったが、今ではチレントのにぎやかな海岸で休暇を過ごす旅行者にとって理想的な日帰り旅行先となっており、週末や夏の間は活気にあふれているという。