仏高速列車TGV、欧州鉄道の新時代を切り開く
高速鉄道に対する新たなニーズ
TGV―M(「M」は「モジュラー」の略)と名付けられたこの新型車両は、フランスの高速列車への新たな情熱の現れだ。TGVの運行路線網は今後10年間に拡張される。まずボルドーからトゥールーズまでの路線が建設され、さらにリヨンからイタリアのトリノ、そしてボルドーからスペイン北部へと延伸される予定だ。
現在進行中の六つのプロジェクトのうち三つは、いずれ欧州全域をカバーする高速鉄道網の構築という野心的な計画において重要な役割を果たすことになる。
現在のパリ―ボルドー線をトゥールーズまで延伸するSNCFの次のTGV路線は、最初に提案されてから約30年が経過したが、2030年までに完成予定だ。トゥールーズは、フランス第4の都市であり、ハイテク産業や観光業の中心地でもある。
この全長222キロの新路線が完成すれば、パリからトゥールーズまでの所要時間は、現在の4時間15分から3時間強へと1時間以上短縮される。
フランス旅行のニューノーマル
「(パリからトゥールーズまでは)人々はすでに航空機ではなくTGVを利用している」と語るのは、フランスの鉄道専門家で、英国の鉄道雑誌「トゥデイズ・レールウェイズ・ヨーロッパ」の元編集者のデビット・ヘイドック氏だ。
「トゥールーズまでの高速路線が完成すれば、さらに多くの人が飛行機からTGVに乗り換えるだろう。実際、パリからリヨン、ボルドー、ナント、マルセイユに向かうルートでは、過去40年間に多くの人が飛行機からTGVに乗り換えた」(ヘイドック氏)
ボルドーの南に建設されるボルドー―トゥールーズ線の最初の50キロは、スペイン北部に向かう新路線と共同で使用する。もっとも、TGVが(フランスとスペインの両国にまたがる)バスク地方までシームレスに走れるようになるのは30年代になりそうだ。