北朝鮮、観光客の受け入れ再開 ロシア人が見た「隠者の王国」は
ロシアと北朝鮮の関係
パンデミック以前、北朝鮮を最も多く訪れたのはロシアではなく、中国からの観光客だった。
今回のスキー旅行に参加したロシア人らはパンデミック以降、北朝鮮への入国を許可された初めての観光客となった。これは北朝鮮におけるロシア人気の高まりを示している。
世界的な制裁を受け、同盟国が少なくなる中、ロシアと北朝鮮が互いに関心を高めていることに、米情報当局者らは警戒を強めている。
北朝鮮は、ウクライナを攻撃するためのミサイルをロシアに供給している。
2月にはロシアのプーチン大統領が正恩氏に車を贈呈した。この行為は、核兵器開発を理由に北朝鮮に科せられた国連の制裁決議に違反する可能性がある。
ボスクレセンスキーさんもビチコワさんも、北朝鮮への渡航を決断した理由は、政治的なものではなく、地元の人々と知り合い、関係を築きたかったからだと語っている。
だが帰国後、ビチコワさんは北朝鮮の体制下ではそれが不可能だと感じているという。
「ステージ上にいるおよそ200人の子どもたちは、我々のために特別に1時間のコンサートを準備してくれた。我々はわずか97人だった」
「つまりステージ上には観客よりも多くの人がいた。彼らは我々に対して、北朝鮮がどのような国なのか、ある種のイメージを作り出そうとしているのが感じられた。だが端々から、それが完全な真実ではなく、別に真実があることが見えた」
ロシア人は北朝鮮旅行や金政権についての考えを自由に論じることができたが、同じことをロシアではできない。
ロシアでは、プーチン大統領やロシアの政策、軍を批判することは犯罪行為だ。
旧ソ連国家保安委員会(KGB)の元将校から軍事ブロガーに転身し、ロシアのウクライナ侵攻を支持していた著名な人物が昨年夏、プーチン大統領を批判するコメントをしたことで逮捕され、「過激主義活動」の罪で起訴された。
先月末も、ロシアと米国の二重国籍を持つ33歳の女性がエカテリンブルクで逮捕され、「ロシアの安全保障に反する活動で外国に資金援助を提供した」罪に問われた。その理由は、ウクライナの慈善団体に51ドルを寄付したためだという。
ボスクレセンスキーさんとビチコワさんの2人は、北朝鮮による人権侵害を認識していたが、北朝鮮の一般市民と交流するために、今回の旅が価値あるものになることを望んでいたとCNNに語った。
2人とも、いつか北朝鮮を再訪することは検討するが、それは政治状況が変わった場合のみだと述べている。
「私のコンテンツの主なメッセージは、どこの国であろうと、どの国籍であろうと、そこに住んでいるのは普通の人々であり、どこにいても愛を持って人々に接するべきだということだ」とボスクレセンスキーは言う。「旅が世界を救うことを願っている」
ロシア人の北朝鮮へのスキー旅行は今月も予定されている。