観光公害に地元住民が抗議、ハンストやデモに参加呼びかけ カナリア諸島
(CNN) 大西洋に浮かぶスペイン領のカナリア諸島で、地元住民がオーバーツーリズム(観光公害)に対する抗議運動を展開している。運動を呼びかけた団体は、押し寄せる観光客のために自分たちが住宅市場から締め出され、環境被害が発生していると訴える。
1年を通じて温暖な気候のカナリア諸島は観光地として人気が高く、地元の環境団体によると、観光客は過去10年の間に年間1150万人から1600万人へと急増した。
賛同者に対して11日から抗議のハンストに入るよう呼びかけた団体は10日、「カナリア諸島はこのまま自分たちの未来を犠牲にするつもりはない」とフェイスブックに投稿し、人間の鎖を作って賛同の意を示そうと訴えた。
別の団体も「環境的、社会的崩壊」が起きていると訴え、20日に実施する抗議デモへの参加を呼びかけた。これに賛同するグループは「完全に持続不可能な観光」問題に矛先を向け、宿泊施設や別荘の価格が高騰して地元住民が住宅市場から締め出されていると主張する。
スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島にあるゴルフ場/EyesWideOpen/Getty Images
同団体は、地元当局が大規模な観光開発を許可しているために、水不足の深刻化といった問題も悪化していると非難した。
遊泳プールやゴルフ場といった観光施設は膨大な量の水を使用する。気候変動の影響で降水量が減り、乾季が長引く中、水はますます希少になっていると同団体は指摘。「我々を溺れさせ、自分たちの家から追い出している状況の制御を」「今こそアプローチの変更を要求し、再び全島を代表して、カナリア諸島には限界があると叫び声を上げるべき時だ」と呼びかけた。
地元自治体はこうした声に応え、社会的、環境的、経済的な持続可能性を実現する観光戦略立案のため、政治家と学者、市民の対話を提案している。