気候危機、「スイス政府が対応怠ったのは人権侵害」 欧州人権裁判所が判決
(CNN) 仏ストラスブールの欧州人権裁判所(ECHR)は9日、スイス政府が気候危機への適切な対応を怠ってきたことは人権侵害にあたるとの判断を示した。
ECHRはこの日、気候変動をめぐる3件の訴訟で判決を下した。
このうち1件では、スイスの年配女性2000人あまりが、気候変動による熱波で健康や生活の質が損なわれ、死の危険にさらたされたとして同国政府を訴えていた。
ECHRは、政府が温暖化ガス削減の目標を達成しなかったことで一部の女性たちの人権を侵害したと結論付けた。
このほか、フランス政府を相手取って市長が提訴した1件と、ポルトガルの若者6人が欧州36カ国を訴えた1件は、いずれも棄却された。
3件とも、原告側は政府が温暖化ガスを十分に削減しなかったために生存権や健康権を侵されたと主張した。
ECHRが気候変動訴訟で判決を下したのは初めて。判決には法的拘束力があり、上訴は認められていない。
今回の判決が適用されるのはスイス政府だけだが、ほかの国際裁判所で審理されている同様の訴訟に影響が及ぶ可能性があり、このような訴訟がますます増えることも予想される。