トルクメニスタンの神秘「地獄の門」、燃え続ける炎は消えるのか

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「地獄の門」はトルクメニスタンの首都アシガバートから北へ車で4時間の距離にある/Iwanami_Photos/iStockphoto/Getty Images

「地獄の門」はトルクメニスタンの首都アシガバートから北へ車で4時間の距離にある/Iwanami_Photos/iStockphoto/Getty Images

発祥をめぐる謎

このガスクレーターがいつできたのか、正確な時期は誰も知らない。ソ連時代の報告が欠落しているか、不完全または機密扱いが続いているためと思われる。

クレーターの内部に入った唯一の人物として知られるカナダの冒険家、ジョージ・コロウニスさんは、「どうやってできたのかについては相当な論争や不一致がある」と言い、「何を信じればいいのかさえも分からない。この場所には物語や言い伝えがあり過ぎる」と語った。

コロウニスさんによると、最も一般的なのは、陥没穴が1971年にできて、その後間もなく火が付いたという説だという。

一方で、クレーターができたのは60年代で、その後かなり長期間、泥とガスが入り混じり、火が付いたのは80年代だという説もあるという。

ガスが発火した経緯も分かっていない。

「手投げ弾だったという人もいれば、ソビエトがマッチを投げ込んだという人もいる。酔った農民がトラクターで突っ込んだという話を聞いたこともある」

現地ガイドは別の説を教えてくれた。「当時近くに村があって、悪臭で生活できなくなったり、有毒ガスで村に健康被害が発生したりしないよう、クレーターに火を付けたと聞いた。彼らは数週間もすれば火は消えるだろうと思っていた」

コロウニスさんは燃え盛るクレーターに飛び込むスリルを味わうだけでなく、ナショナルジオグラフィックの探検家として、そうした環境で生存できる生命を探す役割を担っていた。地球以外の惑星の同じような環境で我々が遭遇するかもしれない生命探求の手がかりとするために。

2013年、コロウニスさんはNASA(米航空宇宙局)の火星探査で使うようなアルミスーツに身を包み、ハーネスとロープを使って17分間の探検に挑み、土壌標本を採集した。その後の分析で、クレーター内の極端な高温でも生き延びられる細菌や好熱菌のような単純な生命体が見つかった。

ダルバザへの行き方

地獄の門は首都アシガバートから北へ車で4時間の距離にある。荒れた2車線のハイウェーと砂漠の道は四駆車を使うことが望ましい。途中でラクダを見かけることも珍しくない。

アシガバートを離れると、ハイウェー沿いの砂漠の村にある雑貨店を除けば、食料などを買い込む場所はない。

3カ所ある宿泊場所のうち、最も高級なダルワザキャンプは地獄の門から徒歩およそ5分の場所にあり、ベッドと椅子を備えたテント、日陰のダイニングエリア、簡易トイレがある。

地獄の門をはさんで反対側のカラクムキャンプには、伝統的なトルクメニスタンのじゅうたんに広げた布団のような敷物と、太陽光発電の照明を備えたテントがあり、夜は屋外のテーブルでバーベキューの食事ができる。

カラクムから地獄の門までは徒歩10分。地獄の門を一望できる小高い岩山へも近い。

「ダルバザには夜に到着するのが最高だ」とギルモアさんは言う。「砂漠を何時間も車で移動した後、初めて目にする光景はそれは素晴らしい。近くに明かりは何もない。本当に地獄の門にいるように感じる」

近くにはほかにも、同じ時期に同じような掘削事故でできたクレーターが二つある。大きさはダルバザとほぼ同じだが、それほど壮観とはいえない。

ダルバザへ向かう途中、舗装道路と未舗装道路が交差するあたりにあるガスクレーターは、炎がかなり小さい。ハイウェーに沿ってアシガバート方面へさらに南へ行くと水のたまったクレーターがある。こちらはガス気泡はあっても炎はない。

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