米政府、北朝鮮に退役軍人の解放を要求
(CNN) 北朝鮮で米退役軍人のメリル・ニューマンさん(85)が拘束されている問題で、米政府は11月30日、北朝鮮政府に「深い懸念」を伝え、ニューマンさんらの解放を強く求めた。
米国家安全保障会議(NSC)のヘイデン報道官が発表した声明によると、米政府は北朝鮮に対し、ニューマンさんが高齢であることや健康状態が良くないことを改めて指摘。ニューマンさんが帰国して家族と再会できるよう解放を求めたという。
北朝鮮ではもう1人、米国人男性のケネス・ペさんが昨年拘束され、労働教化刑15年の有罪判決を受けて服役している。ヘイデン報道官は声明の中で、ペさんについても解放を要求した。
一方、米国務省当局者によると、北朝鮮で米国の利益を代表するスウェーデンの外交官が同日、ニューマンさんと初めて接触した。
ニューマンさんは朝鮮戦争に従軍した経歴を持つ。10月に北朝鮮ツアーに参加し、帰国直前に拘束された。
北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、ニューマンさんが朝鮮戦争や今回の旅行での「敵対行為」を認めて謝罪したと伝え、謝罪文とされる文書の内容とともに、ニューマンさんが文書に母印を押す場面などの画像を公開した。文書の最後のページには11月9日の日付があった。
米カリフォルニア大学バークレー校のスティーブン・ウェーバー教授は、公開された画像と文書は「綿密な筋書きに基づく政治的演出」であり、北朝鮮当局には欧米メディアの注意を引く意図があるとの見方を示した。同教授によれば、欧米諸国との核問題でイランが緊張緩和に動いている状況も影響している可能性がある。