米下院、シリア反体制派に軍事支援の法案可決 ISIS掃討で
ワシントン(CNN) 米連邦議会の下院は17日、シリアなどで台頭するイスラム教スンニ派の過激派「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」を壊滅させるため同国の反体制派への武器支援や軍事訓練を認める法案を賛成多数で可決した。
同法案は、オバマ米大統領が先に発表したISIS掃討のための包括戦略に基づくもの。オバマ氏はイラク内での空爆拡大やシリアの拠点への攻撃開始などを新たな戦略の軸に据えていた。
野党共和党が多数派の下院での審議では、賛成票273、反対は156だった。共和党は71議員、民主党では85議員が反対に回った。共和党内では武器支援などのみではISIS掃討に不十分との主張が目立ち、民主党内では米国を新たな長期の軍事介入に引きずり込むとの懸念が出ていた。
民主党が多数派の上院でも18日に法案を審議する予定。同党の上院指導部は法案可決に自信を見せているが、軍事支援などを疑問視する民主党議員も多い。ISIS壊滅のための軍事介入の拡大が今年11月の米中間選挙で争点になることへの警戒もある。
同法案によると、軍事支援の供与は適切に審査された反体制派のみが対象。また、支援を実行に移す前にオバマ政権が議会に計画の詳細を報告することを義務付けた。
米国内ではこれまでもシリア反体制派への軍事支援の是非が議論されてきたが、過激派への武器流出を恐れオバマ政権は慎重姿勢を保ってきた。