ISIS参加を企てる米国人が急増、その背景を探る
ISIS台頭以前、捜査関係者は過激思想を流布するモスク(イスラム教礼拝所)や聖職者に焦点を当て、採用ネットワークの発見につなげていた。
例えばアルカイダは、聖戦に参加する意欲を持つ過激派を採用することを主眼とし、サウジアラビアやイエメンなど、保守的なイスラムの伝統が強い国を中心に人材獲得を進めていたという。
一方、ISISの採用手法はより世俗的だ。カリフ(イスラム教預言者ムハンマドの後継者)制国家では腐敗した西洋に比べ、はるかに良い暮らしが待っているとうたう。貧富の差や性別、年齢を問わない多様な層がISISの宣伝戦略に引きつけられる格好になっている。
西洋からの加入者がISIS組織内で昇格している兆候もあるという。最近のプロパガンダ映像では英語の質も向上し、文法上の間違いやつづりのミスも減った。
米国内での摘発者の増加は、捜査の成功を意味する一方、ISISの勧誘が弱まる見込みは当面ないとの米当局の認識を示すものでもある。米テロ対策当局者は「新たに捜査に着手する数が終了する数を上回っている」と話す。