子どもが獣舎に転落、絶滅危機のゴリラを射殺 米動物園
(CNN) 米オハイオ州シンシナティの動物園で28日、絶滅の危機にある珍しいゴリラ1頭が射殺された。獣舎に転落した男児を救助するための苦渋の決断だった。
動物園長らが記者会見で語ったところによると、射殺されたのは雄のニシローランドゴリラで、体重約180キロの「ハランベ」。雌ゴリラ2頭とともに飼育されていた獣舎の堀に、4歳の男児が転落した。
雌2頭は外へ誘導されたが、ハランベは男児を捕まえて約10分間も引きずり回したため、危険動物対応チームが「命にかかわる」と判断してライフル銃で撃った。ハランベに麻酔を投与する選択肢もあったが、効果が出るまでに数分間かかるとの理由で却下された。
男児は市内の子ども病院でけがの手当てを受けたが、命に別条はないという。
園長は「チームの素早い対応で子どもの命を助けることができたが、貴重な種類の動物を失って職員全員が悲しんでいる」と話した。
ニシローランドゴリラはアフリカ中部に生息するが、世界自然保護基金(WWF)のリストで絶滅の恐れが最も高い種に指定されている。ハランベはテキサス州の動物園で生まれ、27日に17歳の誕生日を迎えたばかりだった。