米FBI長官解任、政権の意図に与野党から疑念
ワシントン(CNN) トランプ米大統領が9日、連邦捜査局(FBI)のコミー長官を突然解任したことに対し、政権側の意図に疑念を示す声が上がっている。
トランプ政権は解任の理由として、昨年の大統領選で民主党候補だったヒラリー・クリントン氏の私用メール問題に関する捜査の不手際を挙げた。コミー氏はこの過ちにより、FBIに対する国民の信頼を損なったとしている。
しかしこの説明は、民主党から冷笑を買った。コミー氏は、ロシアが大統領選に介入したとされる問題をめぐり、同国とトランプ陣営のつながりについての捜査を指揮する立場にあった。民主党はこの点に着目し、ニクソン元大統領がウォーターゲート事件の特別検察官を解任した例を引き合いに出すなど、解任の動機に疑いの目を向けている。
ホワイトハウスは、突然の解任が招く衝撃の大きさを読み違えていたようだ。政権内部の事情を知る情報筋がCNNに語ったところによると、民主党からの反発はないだろうというのが当初の予想だった。これまで私用メール問題をめぐり、民主党がコミー氏を批判してきた内容と、まさに同じ理由で解任すると発表したからだ。
クリントン氏自身もつい先日、コミー氏が大統領選の直前になって私用メール問題の捜査再開を発表したことが敗因のひとつになったとの認識を示していた。
だがそれは何カ月も前の話だ。トランプ氏がこのタイミングでコミー氏を解任すれば、背後にはロシアによる選挙介入問題の捜査を妨害する意図があったと疑われても仕方がない。そこまでは考えが及ばなかったとみられる。