5カ月間の漂流中、救難信号発信せず 証言に疑問浮上
沖縄(CNN) 太平洋を5カ月近く漂流していたという女性2人が救助された出来事に関連して、2人のヨットの救難信号発信装置は正常に作動していたにもかかわらず、漂流中は起動されていなかったことが分かった。米沿岸警備隊の広報がCNNに明らかにした。
ジェニファー・アペルさんとターシャ・フイアバさんの乗っていたヨットは今年5月、ハワイを出航後に遭難し、10月25日に海軍艦に救助された。沿岸警備隊によると、2人のヨットには非常用位置指示無線標識装置(EPIRB)が搭載され、正常に登録されていた。
同装置から発信される救難信号は、衛星や地上の基地局を経由して、最も近い場所にある救助調整センターに届く仕組み。沿岸警備隊広報は2人のヨットについて、「私たちの知る限り、EPIRBは適切に機能していた。なぜ2人が起動させなかったのか分からない」と語った。
2人の証言に疑問があると伝えられたことに対してアペルさんは31日に談話を発表し、ヨットの船体は破損していたものの、まだ航海に耐えられる状態だったことから、救難信号を発信しなかったと説明した。食料はあり、飲料水も確保する手段があったことから、安全な場所にたどり着けると判断したという。
「EPIRBは命の危険が差し迫った人のためにある」「差し迫った状況ではないのに米沿岸警備隊に助けを求め、そのために別の人の命が失われるのは恥ずべきことだと思った」としている。
ヨットは当初、台湾の漁船に助けられたが、曳航(えいこう)される途中で船体の損傷がひどくなったことから米海軍に救助を求める信号を発信したという。そこで海軍艦が自分たちの救助に向かっていることを知ったと説明している。