米ヘイトクライム、昨年は6212件と増加 背景に大統領選
(CNN) 米連邦捜査局(FBI)は18日までに、昨年報告されたヘイトクライム(憎悪犯罪)は全米で計6121件と近年にはなかった高水準に達したと発表した。2015年は5850件だった。
FBIの今回の報告書は、米国内の法執行機関が連絡してきた1500件以上のヘイトクライム件数に基づいたもの。
報告書の数字は米大統領選に伴いトランプ大統領の支持者を含め、ヘイトクライムが広がったとの指摘を統計的に裏付ける結果ともなった。
FBIがこの種の統計を開始した1992年以降、件数は減少基調をたどってきた。より多くの警察署が調査に加わっていたとする1996年には8759件を記録していた。
「南部貧困法律センター」によると、昨年11月8日の米大統領選投票日以降の数日間、人種差別的なスローガンや憎悪犯罪絡みのメッセージが学校を中心に増加。投票日からの10日間で嫌がらせや脅迫などの行為は867件報告されたとした。
トランプ大統領は当初、一部の支持者による少数派らへの差別発言への態度を鮮明にせず、批判も浴びていた。当選を決めた直後、これらの中傷を耳にするのは悲しいと発言していた。
米国のシーク教徒団体幹部によると、FBIのヘイトクライム報告書は法執行機関による自主的なデータ提供に頼っているため実情が正確に反映されていない欠陥がある。今回の報告書作成に加わった法執行機関は全体の約11%のみとし、今回公表された数字は氷山の一角に過ぎないとしている。