トランプ氏、対ロ追加制裁取り下げを決定 米政府高官
(CNN) 米政府がシリアでの化学兵器使用に関連してロシアへの追加制裁を検討している問題で、トランプ米大統領は制裁を科す計画の取り下げを自ら決定した。事情に詳しい政府高官らが19日までに明らかにした。
政府高官の1人によれば、トランプ政権は15日に在米ロシア大使館に連絡を入れ、ロシアへの追加制裁を行わない考えを伝えた。同日には米国のヘイリー国連大使がテレビのインタビュー番組で追加制裁の実施を予告。混乱が生じたため、ロシア大使館への連絡が必要になったという。
別の政府高官は、国務省の上級職員がロシア大使館に電話をかけたと説明。制裁に関するヘイリー氏の発言は正しいものではなかったと伝えたうえで、ロシアが追加制裁を完全に免れたわけではなく、実施の有無については依然検討中であることを示唆したという。
ロシア外務省の報道官はCNNに対し、ワシントンにあるロシア大使館にトランプ政権から連絡が入り、追加制裁を行わないとの内容が伝えられたと確認した。
事情に詳しい別の関係者によると、追加制裁の取り下げは「準備不足」などが理由ではなく、単にトランプ氏が現時点での実施を望まなかったためだという。政府高官らは、追加制裁に関するトランプ氏の方針転換がヘイリー氏に伝わっていなかったと指摘するが、別の消息筋の間ではヘイリー氏のテレビ出演は、ホワイトハウスから直接説明された正確な情報に基づいた内容だったとの声が上がっている。
トランプ大統領がなぜ、どのタイミングで追加制裁への反対を決定したかは明らかになっていない。ヘイリー氏は追加制裁を予告した発言をめぐりトランプ政権幹部から「先走り」だったなどの批判を受けたことに対して強く反発している。