「モンサントの除草剤でがん発症」、末期患者に賠償320億円 米裁判所
(CNN) 学校の校庭整備の仕事で使った農薬大手モンサントの除草剤「ラウンドアップ」が原因で悪性リンパ腫を発症したと主張する末期患者の裁判で、米カリフォルニア州サンフランシスコの陪審は10日、モンサントに損害賠償金2億8900万ドル(約320億円)の支払いを命じた。
原告のドウェイン・ジョンソンさん(46)はかつてサンフランシスコ近郊の学校区で校庭整備を担当し、ラウンドアップを年間20~30回使っていた。
本人が法廷で語ったところによると、2012年から2回にわたり、作業中にラウンドアップを浴びてしまった。14年にリンパ腫と診断され、すでに末期といわれている。
ほかにも1000人以上の患者らが同様の訴えを起こしている。その中でジョンソンさんの裁判は、死期が近い原告の訴えを優先させるカリフォルニア州の制度に基づき、一番先に審理された。
陪審はモンサントに対し、懲罰的損害賠償2億5000万ドルと補償的損害賠償約3900万ドルの支払いを命じた。
世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、ラウンドアップの主成分「グリホセート」には「おそらく発がん性がある」との判断を示している。
これに対してモンサント側は、今までに800件以上の研究や米国など世界各国の規制当局が、グリホセートに発がん性はないと結論付けていると指摘した。
一方ジョンソンさんの弁護士は、ラウンドアップに含まれるほかの成分との「相乗効果」で発がん性が高まると主張した。
同弁護士は、ラウンドアップは世界で最も広く使われている除草剤だと強調し、10日の評決は「歴史的」な勝利だと述べた。